■GPIBの欠点

   現在市販されている計測器は、ほとんどの機種でGPIBが標準で装備されています。
   GPIBは、もともと計測器の制御用に規格化されたものなので、計測器を制御するには大変優れています。
   しかし、全ての面において万能ではなく、時には、イーサーネットやDIOやAIOなので制御した方がよい場合があります。
   今回は、GPIBの欠点とそれに対する対策を紹介します。

   1.転送スピードが遅い
    GPIBは3線ハンドシェイクという方法を使用して、確実なデータ転送を保証しています。
    データ転送は確実ですが、設定と測定値の読取りを繰り返すようなる場合は、動作が遅くなります。
    HS488.2のよなGPIBの高速バージョンに対応した機種もありますが、大量のデータ転送(波形データ等)以外に使い道が
    ありません。
    このような時は、制御をDIOやAIOでできないか検討します。

    例えば、光ATTを0.1dBステップで変化させてその出力を測定する場合は、光ATTは、減衰量をモーターで制御してるので、

     1.光ATTの出力を光マルチメータ等(アナログモニター出力のあるもの)に入力する。
     2.光マルチメータ等のアナログモニター出力をAIOのアナログ入力に入力する。
     3.光ATTを測定開始の値に設定する。
     4.AIOの測定を開始する
     5.光ATTを測定終了の値に設定する。。
     6.AIOの測定を終了さて、データを取り込む
     7.得られた連続的な出力データから計算で各ポイントの値を出す。

    通常の方法では、(測定終了の値ー測定開始の値)/測定ステップ+1回の設定と測定をおこなう必要があります。
    しかし、上記の方法をとることにより2回の設定と1回の測定ですみます。

    このようにGPIBに固執することなく、DIO、AIOなどを使用すると、高速な制御をおこなうことができます。

   2.コマンドが複雑
    計測器が多機能・高度化されるにしたがいコマンド体系が複雑化してきています。
    SCPIのような標準規格もあるのですが、無駄にコマンドが長くなり、プログラムが複雑になります。
    SCPIは、省略しても書けますが、かえって判りづらくなってみたります。

    コマンド自体を変更することはできないので、地道に自分にあった形のライブラリを作成するのがよいでしょう。

   3.台数に制限がある・装置が高価になる
    GPIBは、1つのGPIBボードで最大15台まで制御できます。
    しかし、電源や光源などを30台くらい制御する場合はどうすればよいでしょうか?
    GPIBボードを一枚追加という方法もありますが、制御内容が簡単(出力のON/OFF等)な場合は、違うアプローチの方法が
    あります。

    システムを設計する時点で、DIOやAIOで制御できる計測器の購入や冶具の作成を検討してみます。
    簡単な制御であれば、わざわざ高価なGPIBを使用するより、DIOやAIOで制御をおこなった方が簡単で安価にできます。
    また、自作の冶具を制御する場合もGPIBを装備するよりはDIO/AIOで制御するようにしたほうが、安価で柔軟性に優れた
    ものになります。

   4.ケーブルに制限がある
    GPIBのケーブルの長さは規格で決まっていますし、頑丈で高価なケーブルは、多くなるとがさばります。
    実際には、規格以上の長さでも動作しますし、光を使って距離を伸ばしているものもあります。
    しかし。規格を越えた状態で動作させるのは問題だし、光を使ったものは高価になります。
    最近の計測器にはイーサーでの制御が標準で装備されているものも多くなっています。
    他の計測器との測定タイミングをあまり気にしないのであれば、ネットワークボードとハブを購入してイーサーで制御すること
    をお勧めします。

   計測制御システムにGPIBを使用する場合は、上記のようなことを検討しておく必要があります。
   GPIBは万能ではないといことをよく理解してください。

  [Home] [前へ] [次へ]

   このWebサイトに関するご質問やご感想などについては、info@ocs-lv.co.jpまで電子メールでお送りください。
   本ホームページに関する著作権は、(有)オーシーエスに帰属します。 又、記載されている会社名・商品名称等は各社の商標または登録商標です。
   掲載されている内容の使用に関して、直接的及び間接的に生じる一切の損害についていかなる責任もおいません。
   当社は、日本ナショナルインスツルメンツ(株)社のアライアンスプログラムのアソシエイト会員です。
   Copyright(C)2001 (有)オーシーエス
   最終更新日:2003-04-04